いよいよ9月になりました。今年もあとわずか4ヶ月を切ったということになりますね。早いものです。

そんな9月最初の(小・中学生には夏休み最後の?)土日に、広島県福山市鞆の浦で開催された「瀬戸内住民集会in鞆の浦」に参加してきました。

古くから潮待ちの港として栄えた鞆の浦は、戦後もほとんど大きな変化もなく、昔ながらの港町の風情を残しています。特に、港の岸壁は、多くがコンクリート護岸化されていく中で、日本でも唯一といっていいかもしれない雁木と呼ばれる石段が、かつての日本の港町の面影をのこしています。

日本でも唯一とも言える雁木の岸壁。江戸時代のものです。

そういった貴重な昔ながらの町並みに付き物なのが、道路の狭さです。自動車交通の不便さから、10年以上前から鞆の浦の港を埋め立てて、そこに国道を通そうという計画が持ち上がっていました。しかし、これだけの景観を失うわけにはいかないと、地元住民の方を中心に反対運動が起こり、前福山市長の時代にこの計画は撤回されたのですが、現在の市長に変わって再び鞆の浦の埋め立て計画が浮上してきました。しかも、今回は、広島県と一緒になって半ば強引に埋め立て免許を出し、強制的に実行しようとしているのです!

そのため、地元住民を中心に埋め立て免許の差止を求める裁判が2007年4月24日提訴されました。それにもかかわらず、5月16日に福山市は広島県に対して免許申請をしており、現在は第1回口頭弁論が7月に行なわれ、この9月6日には第2回の口頭弁論が行なわれることになっています。

瀬戸内の環境を守る連絡会は、埋め立てには一貫して反対の姿勢を示しており、この鞆の浦でも埋め立てによる環境破壊、景観破壊を阻止するために、住民集会を開催しました。
集会では、まず基調講演として、原告弁護団の末崎弁護士が裁判の現状を報告され、地元鞆の浦からは「鞆の浦を愛する会」の大井さんから反対運動の報告がありました。その後、各地からの関連報告があり、みずしま財団からも、私が「海底ごみの実態と、回収・処理の取り組み」として報告を行ないました。

参加者の方から、貴重なご意見もいただきました。

2日間を通して、鞆の浦のすばらしさを感じ、埋め立てを絶対にさせてはいけないという意を強くしたのですが、肝心の集会への地元住民の参加がほとんどなく、住民の顔の見えない集会となってしまったのが残念でした。いみじくも難波田研究員が「住民不在の住民集会」といっていましたが、まさにそんな感じでした。運営側が地域住民に参加することのメリットを訴えることができなかったのか、地域のコミュニティとの関係(企業城下町、封建的とも言われていました)で運動が盛り上がっていないのかは分かりませんが、世界中が注目する鞆の浦の埋め立て・架橋問題、なんとしても中止させるためにも、これからもできるところは協力していきたいと思っています。

しわく