倉敷新渓園で日本で有数の「まち研究家」藻谷浩介氏(日本政策投資銀行地域振興部参事役)の講演会(NPO法人倉敷町家トラスト・倉敷市共催)がありました。
写真で他のまち(金沢、内子、新潟の村上など)の事例、失敗例、成功例などを紹介され、そして倉敷のまちについての提言がありました。
■事例紹介 −景観には油性と水性がある−
東京のようにしたい人たちと地域のいいところを守っていきたい人との熾烈な戦いが、まちの景観に現れていることがよくわかりました。
東京のようにしたいというのは、古い町並みから鉄筋コンクリートの高層ビルのような近代的なものに変えていこうということですが、どうやらそういう再開発はうまくいかない。
なぜなら鉄筋コンクリートやアスファルトやペンキなどは油性だからです。
油性?
藻谷さんいわく、景観には油性と水性があるらしく、油性とは石油由来のもの。東京や地方の駅前・郊外の景色はまさに油性。水性とは樹木やコケ、植物由来のもの。日本建築や庭園なんかはまさに水性。
油性はいらいらさせるもので、水性は癒されるもの。なるほど確かに。
しかし、水性のものは壊れやすいため、管理しやすいように油性のものに日本のまちは変わっていった。そのため、日本のまちは魅力を失っていったのでしょう。
■倉敷への提言
倉敷については旧倉敷地区の美観地区とその手前の商店街の話が中心。
コース料理にたとえるなら、メインはすごいけど、前菜がいまいち。
コース料理にしないと海外からはお客さんは来ない。海外からお客さんを呼ばないと、今の日本の人口構成ではやっていけないとのことでした。
■水島は今後どうなる?
さて、最後に質疑応答の時間があったので、質問してきました。
気になるのは、「水島コンビナート」と「水島のまち」のことなので、思い切って今後どうなるのか聞いてみました。
水島コンビナートは現在中国などに物を売って儲かっているが、日本同様中国などの国でも生産年齢人口が減るので物が売れなくなり、売る先がなくなる。しばらくは競争力を保ち、維持するが、20年ぐらい先にはなくなる可能性が高いので、それまでに産業構造を見直しておかないといけないのではないかという見解を示されていました。
水島のまちは、短期的にみると団塊の世代の大量退職によって、小売業が衰退していくのではないかという予測をされていました。彼らは水島で買い物をしていたが、若い世代の購買行動は違うそうです。
最後に、北九州で社宅を再生した事例を教えていただきました。
水島コンビナートは、ついつい当たり前のようにあるものだと考えてしまうときもありますが、将来的にどうなるのか、産業構造をどうしていくのかも考えながら、まちづくりを進めていかないといけないことを改めて認識しました。
なにわだ(水性の風景が広がる農漁村に、油性の水島コンビナートをつくってできたのが水島のまちということになるでしょうか?水島のまちは、他のところに比べて油性の景観のところが多いような気がします。)