11月9日の金曜日の夜(18:30−20:45)に岡山デジタルミュージアム4階講義室で開催しました。

おかやま環境塾(主催:岡山県環境政策課)は、県の環境学習の一環として、参加者に環境問題への理解をより深めてもらうとともに地域や職場に帰ったときにそれを活かして啓発できるような手法を学んでもらうために開催される事業です。

第1回目は、その入り口として講義「環境って大事?温暖化問題ってホントに大変?」を早川光俊先生(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA) 専務理事)にしていただきました。

1時間ほど地球温暖化問題を中心に環境問題の捉え方や最新の情報について講義をしていただき、その後30分ほど質疑応答をしました。

講義では、以下の点を中心にお話をいただきました。

●温暖化問題とは?温暖化問題の実態
温暖化は加速しており、過去100年(1906〜2005年)で0.74℃上昇し、最近50年の昇温傾向は過去100年のほぼ2倍になっている。IPCC第4次報告書では、温暖化は、疑う余地がない、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い(第3次報告書では「可能性が高い」)と記述されている。

●温暖化の影響
雪氷圏、海面水位の上昇、生態系への影響など

●今後どうなる?
IPCCは今後100年間1.1〜6.4℃気温上昇を予測している。氷河期から平均気温が5℃上昇したが、それは数1000年かけて5℃の変化が起こり、それに生態系が適応してきた。今起ころうとしているのは、100年という短い期間であり、それに生態系は適応できるかどうか。そのことが、温暖化の基本的なテーマ
である。いろんなデータがあるが、適応できるのは100年で1度。
1.1〜6.4℃は誤差ではなく、高排出シナリオ(高度成長政策で化石燃料に頼ると)と低排出シナリオ (環境対策をして持続可能な社会をつくると)などの複数のシナリオによるもの。しかし、現在の世界の二酸化炭素排出量は高排出シナリオを上回っている。
平均気温の上昇は2℃が限度である。それは工業化以前(1850年頃)から比べてであるが、もう既に0.74℃上昇している。その程度に抑えるためには、2050年までに2000年比で50〜80%削減することが必要である。

●国際的な対策の取り組み(1989年〜)
気候変動枠組条約(1992年〜)には、2つの原則の原則がある。1つは、「共通だが差違ある責任」であり、気候変動問題は地球規模の環境問題で、その解決は世界全体の共通の課題であるが、原因をつくった先進諸国とその被害を受ける途上国の責任には当然に差異があり、先進国により強い責任があるというもの。これは温暖化問題そのものである。もう1つは、予防原則。
条約を具体的に定めたものが京都議定書(2005年発効)。特徴としては、法的拘束力をもつ(条約と法的効果は同じ)、数量化された国別総量削減目標(先進国)があること、目標達成手段である。目標達成手段には森林などの吸収源の利用と排出量取引、共同実施、クリーン開発京都メカニズムなどの京都メカニズム(柔軟性措置)などがある。しかし、米国と途上国の努力をいかに引き出すかなどの課題も少なくない。
日本では、議定書が発効した2005年に、京都議定書目標達成計画(4月)を策定した。しかし、目標の6%達成は困難である。
将来枠組みを考える視点としては、①生態系がどの程度までの平均気温の上昇に耐えられるかを考慮して中長期目標を設定し、そこから逆算で当面の目標を設定すること、②科学的かつ衡平で、客観的で、より高い削減目標をもつこと、③総量削減、法的拘束力、遵守制度などの京都議定書の基本的構造を引き継ぐものであることなどが挙げられる。

●地球温暖化を防止するために
温室効果ガスの排出増加が主要な原因、化石燃料由来のCO2が温室効果の6割。日本では、CO2排出量の90%が化石燃料からである。そのため、温暖化を防止するには化石燃料からの脱却しなくてはならない。省エネ行動と自然エネルギーへのエネルギー源の転換。

●私たちに何ができるか
環境家計簿などの省エネ活動、省エネラベルの商品を電化製品の買い換え時に購入するといったグリーンコンシューマー、自然エネルギーへの取り組みなど。

●公害問題と地球環境問題の特徴
公害問題と地球環境問題には、生物的・社会的弱者が被害者に、絶対的・不可逆的損失の発生など共通性がある。大気汚染と地球温暖化には、原因の共通性がある。大気汚染物質(SO2、NO2、SPM)も、地球温暖化の主な原因の二酸化炭素(CO2)も、石炭や石油などの化石燃料の使用から発生する。主な発生源は工場と自動車である。産業別では、発電所、鉄鋼、化学などが中心。そのため、対策にも共通性があり、化石燃料の使用の削減(化石燃料からの脱却)、省エネ対策、自然エネルギーへの転換、交通量の削減など。

●3つの公平
3つの公平、①同世代に生きる人達との公平(南北問題)、②将来世代に生きる人達との公平(世代間の公平)、③人間とその他の生物との公平(生物の多様性)が達成されなくて環境問題は解決されない。

●市民こそ環境問題解決の鍵
地球規模の環境問題の解決のためには、国益や利害から自由で 「地球益」を考えることのできる市民・環境NGOの役割が重要。

参加者からはいくつかの質問があり、それに対する早川先生の回答がありました。また、市場メカニズムを使った手法であるである排出量取引についての解説がありました。さらに、ヨーロッパと日本がどう違うのか?についての解説がありました。日本では、産業関連がCO2排出量の8割を出しているにもかかわらず、そこへの対策が弱いそうです。一方、ヨーロッパは環境税を導入し、自然エネルギーを積極的に活用をしているが、ヨーロッパは環境をてこに経済の中心になろうとしているそうです。日本の企業の環境対策はまだ社会的貢献のレベルだということです。そのあたりが大きく異なるようです。

参加者からは、「多くの知識が得られた」、「危機感を改めて認識できた」、「これまで環境と捉えている部分だけでなく南北問題・公害問題などの視点が絡んでいる点が興味深かった」などの感想をいただきました。

流れがよくわかる講義で、現在まで蓄積されてきた環境問題に関する知識が整理されたのではないかと思います。

次回はフードマイレージ買い物ゲームです。楽しみですね。

なにわだ(長文になりました。)