2021年度から公害資料館づくりに取り組んできました。その成果として、水島の公害地域再生について系統立てて学べる学術書を出版しました。
大阪公立大学の除本理史先生に中心となっていただいて、これまで水島をフィールドにして研究してくださった成果をまとめ、新たに地域の方々にヒアリングを行った記録を掲載しました。
ヒアリング記録の第3部から読むのがおすすめ(島根大学:関耕平先生)とのことです。
出版社の東信堂のリンクはこちらです。

推薦の帯文を内田樹先生に執筆していただきました。

公害問題というのはずっと非道な資本主義との『戦い』だと思っていた。その熱源は怒りや怨念だと思っていた。この本を読んで、公害問題へのかかわりが『困難な過去』を物語として語りなおすことを通じて深く記憶し、次世代における創造につなげるという日向的な運動にまで成熟していたことを教えてもらった。私の知らないうちに公害という論件は新しいフェーズに入っていたのである。貴重な知見を得た。(内田樹:凱風館館長、神戸女学院大学名誉教授)

ぜひ、水島の学習、地域再生の学習、公害の研究などに活用していただければと存じます。

みずしま財団でも販売をしています
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_本書の説明_

公害問題の歴史の「影」に、地域の新たな価値という「光」を当てる取組み!
わが国の戦後復興の「負の遺産」とも言える公害問題。
本書で取り上げる岡山県倉敷市・水島地区でもまた、戦後に重化学工業を誘致したことで公害問題による健康被害が深刻化し、地域社会は窮地に追いやられた。
住民・行政・企業など多様なアクター間の協働によって公害という「困難な過去」を乗り越え、脱炭素社会など地域に新たな「価値」を創り出すみずしま地域の公害資料館創設までを描いた、公害問題研究の新地点!

目次
はしがき(除本理史・林美帆)
序 水島の環境再生と資料館づくりの意義(下野克已)/水島地域の調査研究などに50年以上取り組んで(磯部作)第Ⅰ部 公害と地域社会
第1章 戦後日本の地域開発と公害(除本理史)
第2章 工業化と地域社会の変容(香川雄一)
第3章 「倉敷市公害患者と家族の会」の軌跡(江頭説子)

第Ⅱ部 環境再生に向けて
第4章 「水島再生プラン」とまちづくりの現在(傘木宏夫・藤原園子・塩飽敏史)
補論 水島における環境学習のまちづくり
第5章 瀬戸内海の海ごみ問題と政策形成(除本理史・塩飽敏史)
第6章 公害経験を踏まえた健康づくり(尾崎寛直・藤原園子)
第7章 「地域の価値」をつくる(除本理史・林美帆)
第8章 脱炭素を水島から(上園昌武・歌川学・近江貴治)

第Ⅲ部 倉敷・水島を語る
太田映知さん/小畑照子さん/里見和彦さん/岡浩二さん/古川明さん/福留正治さん

資料/あとがき(除本理史・林美帆)/索引/執筆者紹介

刊行日 2022年10月
著者 除本理史・林美帆編著
出版社 東信堂
価格 ¥1980(本体¥1800+税)

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