これは大気汚染問題で企業の共同責任を認めた四日市公害訴訟判決から35周年を記念する集いで、7月21日(土)に四日市総合会館で開催されました。集いでは、市民や日本環境会議の研究者など約40人でつくる検討委員会が3年間かけてまとめた「四日市環境再生まちづくりプラン」が提言発表されました。200名の参加があったそうですが、みずしま財団からは6名が参加しました。
まず、宮本憲一先生から基調講演「四日市環境・都市再生の課題−判決35周年を迎えて」がありました。戦後公害史の原点になったという四日市公害裁判の意義を指摘されるとともに、産業政策や都市計画や行財政について現状と対策の課題を整理され、四日市市の目指すべき方向として「維持可能な都市」づくりについて提案されました。
次に、四日市環境再生まちづくりプラン検討委員会から提言発表がありました。プランは、政策提言報告書「都市のアメニティの再生を−公害と地域開発の原点「四日市」から考える−」という形でまとめられており、その概要についてテーマごとに説明がありました。
そして、提言発表を受けてのパネル討論がありました。パネリストとして、四日市と同様に大気汚染の公害地域で環境再生・まちづくりに取り組んでいる大阪市西淀川、名古屋南部、倉敷市水島からそれぞれ1名ずつ参加し、各地域での取り組みを紹介するとともに、四日市のプランへのコメントを報告しました。
水島からは一番若手の難波田(なにわだ)がパネリストとして報告をしました。四日市のプランへのコメントは、「せっかくすばらしいプランができたのだから、わかりやすく・さまざまな団体に広げていくかが重要。」ということで、水島ではどうやって広げているのかというあたりを中心にしました。広報3部作(現状と課題、パンフレット、写真集)を作成して、いろいろと工夫をしながら活動を知ってもらい、参加・協力をしてもらっているという話をしました。
フロアからもさまざまな意見が出され、四日市のまちづくりについて討論がなされましたが、やはり最終的には環境再生・まちづくりの担い手や体制の話になりました。
第一線で活躍されている若手の研究者を中心に、3年かけて調査研究された集大成のプランなので、私たちも大いに参考にさせていただける大変すばらしいものであると思いますが、専門的で難しいところもありますので、これをいかに噛み砕いてわかりやすくして、市民や市民団体に広げていくかが重要だと思います。そして、こうしたコーディネート役が必要であり、この度、再生プランの策定に合わせて設立された「四日市まちづくり市民会議」がその役割を担うことが期待されます。
政策提言報告書には、四日市では、80年代に大気汚染訴訟を提起し勝訴・和解を勝ち取ってきた西淀川、名古屋南部、水島と違って、被害者・住民の側からまちづくりの主体が形成されなかったため、運動が展開されてこなかったというような記述があります。今後、まちづくりの主体となる「四日市まちづくり市民会議」が設立し、そこを拠点に、また公害地域と連携しながら四日市のまちづくりが進んでいくことが望まれます。私たちも四日市や他の地域と連携しながら、公害地域の再生に取り組んでいきたいと思っています。
翌22日(日)には、現地視察がありました。現地視察については、また報告します。
なにわだ(大役を仰せつかって緊張しました。パネル討論に参加するにあたり、みずしま財団で報告内容の方向性を確認し、いろいろな意見をいただき最終的に私がまとめて報告しました。皆さんどうもありがとうございました。)