過去に学び、持続可能な社会を考えるエコツアー「水島コンビナートと、倉敷 町家をめぐる旅」を9月5日(水)に開催しました。
参加者は、大学生を中心に18名でした。
まず、倉敷駅に集合し、そこからバスで水島まで移動しましたが、その途中で水島の成り立ちから公害の歴史、現在のまちづくりの取り組みの概要を塩飽がお話しました。
最初のポイントである鴨ヶ辻山の展望台からは、水島の市街地とコンビナートが一望でき、その位置関係や地形的な特徴と公害との関わりなどを目で見て実感することができました。
鴨ヶ辻山での見学のようす
第2のポイントである工場見学は、JFEスチール株式会社西日本製鉄所でした。
日本でも有数の本製鉄所では、厚板が作られているところを実際に見学するとともに、工業用水の循環利用などの環境対策の取り組みなどについて解説をしていただきました。
JFE工場内で記念撮影
その後は、倉敷市環境学習センターに移動し、公害裁判に関わった石田正也弁護士から、当時の様子、裁判闘争から未来に向けた教訓などについて、当時の写真を見ながら、丁寧に説明をしていただきました。
石田弁護士によるレクチャーのようす
環境学習センターでは、玄米食堂元気屋さんによる、地元の食材を使ったお弁当をいただいた後、所長の岡本規利氏からセンターの概要や、改正された「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」(平成23年6月15日公布)によって、環境保全活動を推進するための拠点機能整備、環境教育に関する協働取組の推進が盛り込まれ、これから取組を進めていかれるといったお話がありました。
岡本所長によるお話
午後は、伝統的建造物群保存地区(美観地区)に移動し、NPO法人倉敷町家トラストの中村泰典氏にトラストの活動紹介と、実際にまち歩きをして、倉敷のまちについて解説をしていただきました。
町家トラストでは、こんなオシャレな看板でお出迎え
倉敷の町家を建てるときのルールやそこでの生活、昔ながらの家を守り住み続けることがエコにもつながるといったお話は、とても興味深いものでした。
そして、今回印象に残った言葉は、「私の家も景色の一部」
風景というのは、公共のものだという意識の大切さを改めて考えさせられました。
中村さんによるまち歩き解説
【参加者の声(一部抜粋)】
・実際に鉄鋼が作られている行程を自らの目で見ることができて良かったです。
・何のために、古い景観を大切にしているのか、という考え方の根本が分かりました。
・公害病患者の大変さや努力を学ぶいい機会でした。
・まちづくりは、「困り事」から始まる、という言葉、私もそう思います。その困り事を住民がどう共有するかだと思いました。
・水島と倉敷の中心部を対比してみて、鉄などの製造によって豊かになっていく反面、昔ながらの町が失われていったり、変化したりと考えていかなければならないと感じました。
今回のエコツアーでは、
・大規模な水島コンビナートとその周辺での人々の暮らし
・水島地域のまちづくりと、倉敷の昔ながらのまちのつくり方
これらの対比から、未来のまちづくりをどう描いていくべきか、ツアーを通じて考えるきっかけになったのではないかと思います。
しわく