みずしま財団の報告は、1日目の午後の分科会の5番目でした。
「コンビナート地域における公害経験を活用した環境学習」と題した報告を
逐次通訳込みで、15分お話しました。
逐次通訳をしてもらうということを意識すると、
普段のしゃべりがいかに、要領を得ないか
1文が長いかということに気づきます。
報告の中で、市民がおこなう環境調査という視点で
あさがお調査とNO2調査のご紹介もしましたが、
参加者から、中国でもNO2のカプセル調査をやってみたい
ぜひ詳しく教えて欲しいといっていただいたり
財団は和解金でつくったと説明があったけど
和解金はまだあるのか?
いまの資金は?という質問。
分科会の後に
四川の大震災の後に
地域での環境学習やまちづくりをやっていて
とても共感できるということで
お声がけをいただいたりと
うれしい反応をいただきました。
ちなみに、資金の件は
和解金はもうない。
資金としては、助成金等々活動に関する資金調達をしているけど、不充分。
だからぜひ皆さんにも(有料の)ツアーにきて欲しいし
企業への寄付のお願いもしたいと思う。
ただ、いずれにしても、財源は1つではなく、
いろいろな組み合わせで考えていきたい。
というお答えをしました。
「財源は1つでない」というのは、大事なポイントだと
ファシリテーターの広瀬氏もコメントくださいました。
どのような発表をしたのか、以下簡単にご紹介します。
題名にあるとおり、自然があまりないように思われるコンビナート地域での自然体験型の環境学習ということで、こんな取り組みもあるんだということで、知っていただければと思います。
さて、前提として、活動をおこなっている、岡山県倉敷市水島地域の説明をしたいと思います。
日本の西側の岡山県にあります。
瀬戸内海という海、河のようかもしれまんが、小さな島が多数浮かぶ海に面しています。
古い歴史を残す町並みがある一方で、海辺を大規模に埋め立ててできた、工業地帯があります。
鉄鉱、石油化学などの工場が並んでいます。
広さは、2,514ha。
1960年代から、工場地帯の発展にともなって、さまざまな公害・環境破壊が起きてきました。
重油の流出事故。海に大量の重油が流れ出しました。
大気汚染による呼吸器疾患の患者も、多数発生しました。
企業を被告に大気汚染公害裁判もおもなわれ、13年という長い時間をへて、和解にたどりつきました。
この和解の中で、和解金の一部を、地域の環境保健、地域づくりにつかうことができるという、一文がはいっており、それをもとに、公害地域の環境再生・まちづくりをおこなっています。
子や孫によりよい生活環境を手渡したい。手渡したいのは青い空という願いをかなえるために
公害・環境学習もおこなっています。
今日は、自然体験ということなので「大気」「水辺」というあたりをお話します。
市民自らが調べて、体験して
それぞれの分野の専門家に協力してもらって行う。
というところがすべてベースになっています。
まず、知る。そして、地域のことを学び、そこからそれぞれが地域で課題に取り組んでもらいたいと思って行っています。
まず、大気に関する環境学習ということですが、「あさがお調査」。
あさがをを植えて、その葉にあらわれる大気汚染の状況を、住民が調べて、まとめて、地域の環境診断をしました。
大気汚染がひどいと、葉が枯れてしまいます。
それから、大気汚染物質である「二酸化窒素」を簡易的に図るカプセル調査。これも千人規模で一斉に測定して、地域の大気の汚れを自分たちの手で調べ、地域の状況を知ります。
それから、水辺です。
工業化に伴い、海を大規模に埋め立てて、いままで海水浴や漁業など、生活に密着だった水辺が、遠い存在になっていきました。
少しでも、水辺を身近に感じてみようということで行っています。
これは、地域を流れる川。といっても用水路のようですが
毎年4回、このように、川はいって、生き物や水質の調査をしています。
生き物は、高校の生物の先生にご協力いただいて、毎回、どんな生物がいたのか記録を残します。
10年ぐらい行っていて、継続してくることで、川や生き物の変化がわかったり、住民の意識が変わってきました。
学校の授業の中でもおこなっています。
次は海です。
これはアマモとよばれる、海の草です。「海のゆりかご」とよばれ、海のいきものが生息する上でとても大事な場所です。これも埋め立てのために、ほとんどがなくなりました。
しかし、少しでも残っているところを大事にし、今後ふやしていこうと、生き物をしらべたり、海辺で楽しんだりしています。
これは、海の底のゴミをしらべているところ。普段目にしない、海の底には、大量のごみがしずんでおり問題になっています。これも10年ぐらい調査してきました。
これらについて、実際に船にのって、体験するとともに、あわせて地域の漁業についても体験して、学びます。これは、牡蠣という貝をあけています。
こんな先生向けのガイドブックや簡単な図鑑、パンフレットやパネルもつくっています。
なぜ公害の発生したのか、
それに対してどう対処してきたのか、
その後の環境再生、まちづくり、環境教育。
これは、日本だけでなく、今後、公害や環境問題がおきるところでも必ず役にたつのではないかと思います。
そこで私たちは、国内外への情報発信も力をいれようとしています。
エコツアーという言葉が正しいかどうかわかりませんが、
地域の歴史や住民・行政・企業の取り組み、環境学習の現場や、環境保健の取り組みなどを総合的に学べるツアーを始めました。
いま作成中なので、まだ十分ではないのですが、中国語でもそうした情報発信のサイトを作成していますし、中国から視察研修の受け入れもおこなっています。
ぜひ水島にお越しください。
私たちの活動が何かの役に立てば幸いです。
謝謝